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半信半疑で読む 子育てアドバイス <第九回 前編>

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半信半疑で読む 子育てアドバイス <第九回 前編>

半信半疑で読む 子育てアドバイス <第九回 前編>

2020/08/27

第九回 良いお父さん

 

「イクメン」という言葉は、20年ほど前からちらほら耳にするようになってきた言葉です。


2010年に当時の厚生労働大臣がイクメンプロジェクトなるものを提唱したことにより急速に普及したといわれています。積極的に育児を楽しむ男性を指した言葉です。その後、男性の育児休業ということも制度としてつくられてきました。NHKの長寿番組の一つである「おかあさんといっしょ」という番組と対になるような番組「おとうさんといっしょ」も放映されるようになりました。


この様な社会の流れを反映してか、ネットで検索しますと、「良いお父さんの条件」等の情報もたくさん読むことが出来るようになりました。一例をあげますと、次の文章に出会いました。

 

「尊敬されるお父さんになる10のポイント」

1.子どもの話の聞き上手に
2.子どもを叱るときはスキンシップも
3.温かい目で見守り、いざという時は頼りになる存在
4.子どもがやりたいといったことは頭ごなしに反対せず応援
5.どんな時もあなたの味方だという事を伝えておく
6.子どもと全力で遊ぼう
7.わからないことを一緒に調べよう
8.感情的になるのはNG
9.お父さんが頑張る姿を子どもに見せよう
10.お母さんを大切にする姿を子ども達は見ている

 

等々です。(勝手に引用してしまいすみません。)

 

間違ったことは一つもありません。良くまとめられた理想的な父親像であると思います。


ただ、この10のポイントを書いている著者には大変申し訳ないのですが、実際問題として、当園の子ども達のお父さん方に向かって、「これが、良いお父さんになる為に必要な10のポイントです」と、お話しする気持ちには正直言ってなれません。その理由は、お母さん方に「良い母親になる為に必要な10のポイント」という話をする気になれないのと同じ理由です。理想像を掲げることが無意味であるとは思いませんが、ただでさえストレスの多い現代社会にあって、仕事に追われ、時間に追われ、住宅ローンを抱え、親の介護等の大きな心配事が時間の経過とともに深刻化し、そのほかにも気になる事をたくさんかかえ、他人の目も気にして生きている中で、新たな心配事、予期せぬ問題、つまらない問題(お味噌汁をひっくり返す。壁紙のめくれを引っ剥がす。


お姉ちゃんが一生懸命に描いた自慢の絵を弟がぐちゃぐちゃにしての兄弟喧嘩でふたりとも大泣きを始める等)日々、トラブルを容赦なく作り出す存在である子ども達の母親・父親に対して、親としての理想像を提示するのは、新たなストレスを提供するだけではないかと、私にはどうしても思えてしまうのです。また、10のポイントというのはポイントが多すぎるように思います。

 

以上のことを踏まえて、子どもの視点に絞って、子ども達が父親という存在に何を求めているかを私なりに書いてみたいと思います。


大切なポイントを三つに絞って書きます。

 

子どもが父親に何を求めているのか?その第一は、

 

1.ニコニコしていてほしい

「イクメン」という事に関して言えば、この言葉が世の中に広くいきわたる以前から、自画自賛になり恐縮ですが私はイクメンでした。園長であれば当然のことだったかもしれません。一番上の子が小5、次が小3、一番下が幼稚園年長の時代から、毎日の夕食のほとんどは私が作ってきました。理由は料理が好きだったからです。子ども達が「おいしい」と言ってくれるのが楽しくて作っているうちに習慣となりました。仕事帰りにスーパーで買い物をして、かえって夕食を作る日々が続きました。家族の誕生日、各種お祝いの料理、クリスマスやお正月の料理も腕を振るいました。現在は家内と二人暮らしですが、相変わらず朝食と夕食は毎日私が作ります。休日には三食つくります。料理歴は25年程になります。子ども達とはとてもよく遊びました。色々出かけました。TVゲームも一緒によくしました。現在30代のお父さん達がきっと懐かしく思うドラクエ・FF・スーパーマリオ・桃伝・桃鉄・その他、とてもよく一緒にしました。お正月は家族でゲーム三昧でした。子ども達の夏休みの工作作りも楽しみの一つでした。よく一緒に作りました。イクメン全国選手権なるものがあるとすれば、私はかなりの上位に入賞する自信があります。


ただ、子育てを終え、静かに自分の子育てを振り返ってみた時、何かとても大切な反省点があるような気がしてならないことがあります。それは、「あまりニコニコしていなかったかもしれない」という点です。様々なストレスに負け、イライラしていたり、不機嫌であったり、近寄りにくい雰囲気をしばしば身にまとっていたような気がします。


別に、子育てに関して完璧になる必要もないのだと思いますが、子ども達に一番必要だったものは私の笑顔だったのではないかと、今になって反省として感じています。

 

現代を生きるお父さん方、様々なストレスの中で、「イクメンであれ」「良き父親となれ」という新たなストレスが加わっています。


「子どもに尊敬されるための10のポイント?・・・あなたはいくつできていますか?」

 

そのようなセルフチェックを有形無形で感じさせられる世の中になっています。しかし、いろいろなポイントに関して落第お父さん でも心配はいりません。お父さんのニコニコ笑顔はその落第点を充分に補う力があります。イクメン選手権上位入賞自信ありの私が言うのですから間違いありません。なによりも子ども達に必要なものはお父さんの笑顔です。

 

理由はとてもシンプルです。子ども達は基本的にお父さんが大好きだからです。生まれて間もない赤ちゃんと母親との間に生まれる愛着程の強さはありませんが、子ども達にとって、お父さんは、ありのままのお父さんで充分に魅力的な存在なのです。大好きなお父さんなのです。


長年、園長という仕事をしてきました。随分たくさんの子ども達と接してきました。経験として強く感じることとして、小学低学年くらいまでの子ども達に関しては、間違いなく、ほとんどの子ども達にとって、お父さんは、ヒーローであり、大好きなお父さんです。特に背伸びする必要は決してありません。お母さん方もこの点、ご主人に「イクメン」を求めすぎるのはやめた方が良いと思います。互いにストレスとなります。この大好きなお父さんと子どもの間に少しずつ隙間が出来ていく。とても残念な傾向です。


しかし、お父さんのニコニコ笑顔はその隙間の広がりをしっかりと食い止めていく力を持っています。子どもが父親に何を求めているか、第二のポイントは

 

2.お母さんと仲良くしてほしい。

 

この項目に関しては、あえて多くは書きません。


「大好きなお母さんと大好きなお父さんに仲良くしていてほしい。」

 

子ども達の切実な願いです。こころの声です。

 

第九回 良いお父さん 後編 につづく

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