『半信半疑で読む 子育てアドバイス』<8後編>

前編 子どもの人生においてあなたが大切だと考えることは、子どもの小学校入学を機に話はじめましょう につづきます

では、人生においてあなたが大切だと思うことをどの様に子どもに伝えるかについて、自分の経験からアドバイスさせていただきます。
小学一年生から生意気ざかりの思春期にいたる子どもに対しても「お堅い話」「うざい話」「かったるい話」をいかにサラリと伝えていくか。
私がとった作戦をお話ししたいと思います。参考にしていただければ幸いです。

わたしの作戦は、小学一年生から高校卒業までの12年間、毎月のお小遣い袋にまったく同じ5つのメッセージを貼るというものでした。
そして、事あるごとに重くかしこまった雰囲気ではなく、そこに書かれた言葉をサラリと口にする作戦をとりました。
子ども達がどれほどそのメッセージを読んでいたのか私は知りません。
確認したこともありません。
ただ、子ども達が、毎月のお小遣い袋に書かれている5つのメッセージにある程度こたえてくれたと思いますので、あえて確認の必要もないように思います。

お小遣い袋に貼り続けたメッセージは、私の場合は次のようなものでした。

<加来一族の五戒>

1.二十歳までに必ず独立しなさい。
「いつまでもあると思うな、親と金」

2.自分の才能を見出し、それを磨きなさい。
「玉磨かざれば光なし」
「宝の持ち腐れ」は人生最大の損

3.嫌な仕事をいやいやしなければならない人になるな。好きな仕事を楽しみながらできる人になりなさい。
「好きこそものの上手なれ」

4.一生付き合っていける素晴らしいパートナーをみつけなさい。
「結婚は人生の墓場」にしないように。ここで間違うととんでもないことになる。

5.「喜ぶものと共に喜び、泣くものと共に泣きなさい」(聖書)
神はその人と共にいます。

以上です。

メッセージの内容については、読者の皆様に押し付けるものではありません。
これはあくまで私が自分の子ども達に願ったことにすぎません。

メッセージの内容はご自分で考えられてくださればよいと思います。
というよりも、あなた自身がご自分の子どもに生きていく上で大切だと考えていることだからこそ意味があるのだと思います。
ですからあえて、自分がお小遣い袋に貼っていた文章についての細かい解説はしません。

ただ、最初の項目については誤解を受ける可能性がありますので、すこし解説させていただきます。

1.二十歳までに必ず独立しなさい。
「いつまでもあると思うな、親と金」  について補足いたします。

この言葉は、子ども達がやがて必ず直面する危機に備えよという意味がある言葉です。
もちろん小学一年生の子どもにこの言葉を、ストレートに投げつけて受け止めさせることがよいとは私も思いません。
無理ですし、そして酷です。
しかし、避けてはとおれないやがて直面する子どもの大きな危機です。
あまり深刻にならない程度に、子どもの成長に合わせて、タイミングをみて
「親の死」
について少しずつ話をしていく布石としました。
親の死という子どもにとって過酷な話であればこそ、その事態が深刻でないうちに現実的ではないうちに
少しずつ話しておきたいと考えました。

また、この言葉は「死についての教育」とともに、「お金の教育」の土台でもあります。
やがて親から独立し、自分でお金を稼ぎ、それを管理して生きていかなければならないという現実を悟らせる布石とも考えました。
(現実としては、大学卒業するまでは学費・生活費は出しました。)

2.は自分の適性を考えることの大切さ。

3.は職業観

4.は結婚観

5.は対人関係について

以上です。

どれもこれも、小学一年生が理解できる内容ではありません。
第一、漢字もまだ読めません。しかし、毎月のお小遣い袋(子どもにとってもうれしい袋)に親の教えを書くことで、
教えの布石にしました。内容は、子ども達の成長に合わせて徐々に説明していきました。

 

二十年後に、「園長先生のアドバイス、役に立ちました」
その様に言っていただければ幸いです。・・・もういないようなきがしますけれど・・・

次回 第9回 良いお父さん につづく